新年が始まり、業務が再開される時、それを「仕事始め」と呼びますが、「仕事初め」と表記されることもあります。
どちらの表記が適切なのか、またこれらの用語が混同されがちな理由について詳しく説明します。さらに、「御用納め」との違いについてもこの記事で明らかにします。
「始め」と「初め」の使い分けについての誤解や、「御用納め」との正しい理解についても解説し、よくある誤解を解消します。
新年業務の正式な開始日:「仕事始め」について
新年休暇の後に戻ってくる最初の勤務日、あるいは年始における業務は、「仕事始め」と一般に呼ばれます。では、「仕事始め」と「仕事初め」のどちらの表記が正しいのでしょうか。
「仕事始め」が正しい表現です。
広辞苑によると、「仕事始め」は新年になって初めて行う業務を指し、地域や業種によってその日が異なる場合があるとされています。「始め」はここで「スタート」という意味で、「仕事を開始する」という意味です。
一方で、「仕事初め」の「初め」は「最初」という意味で、順序や時間的な最初を示します。「初め」は「事の開始」、つまり「最初」を意味し、「初めて」の行為を指すことがあります。
「仕事始め」は業務を開始する日を指し、必ずしも「初めて」の業務を意味するわけではありません。
このことから、「仕事始め」が新年の業務開始に対する正確な表現であると理解されます。特にビジネスメールでは、この用語を正しく使用することが求められます。
「仕事初め」の表記を選ぶ理由は?
年末に送られるビジネスメールで「仕事初め」という表現をよく見かけるのはなぜでしょうか。調査によると、「仕事始め」を使う人が77%で、「仕事初め」を選ぶ人が23%であることがわかりました。
この誤用の主な原因は、パソコンやスマートフォンの漢字変換機能にあるとされます。慣れ親しんだデバイスでは「仕事始め」が優先して提案されますが、共用デバイスでは「仕事始め」と「仕事初め」が並んで表示され、誤って「仕事初め」を選んでしまう人もいます。
新年には「初日の出」や「初夢」など、「初」を含む言葉が頻繁に使われますが、これが「仕事初め」という表現の選択に影響している可能性があります。
しかし、正確には「仕事始め」が業務再開に対して適切な表現であり、この点を正しく理解しておくことが大切です。
「御用始め」と「仕事始め」の違いとは?
「御用始め」と「仕事始め」は似た意味を持ちますが、特定の状況や文脈で異なる使い方がされます。「御用納め」と共に年末年始によく使われるこれらの言葉は、一般には「仕事納め」「仕事始め」と同様に使われますが、その背景には少し違いがあります。
- 「仕事納め」と「御用納め」は、年内の最後の業務日を指します。
- 「仕事始め」と「御用始め」は、新年に最初に行う業務日を指します。
「御用」という言葉は、公の業務や公務に関連するときに使われることが多く、宮中や幕府での業務を指して使われてきました。例えば、時代劇で耳にする「御用だ!」というフレーズにも、その公的なニュアンスが表れています。
この「御用納め」「御用始め」は、もともと官公庁や公的な業務で使われる言葉で、現代でもその使い方が部分的に残っています。
一方で、民間企業では「仕事納め」「仕事始め」という言葉が普通に使われています。この言葉の変化は、言葉のイメージや時代の変化によるものです。
例えば、NHKでは「仕事納め・仕事始め」という表現が標準とされ、官公庁でも同じ傾向が見られます。しかし、公務員の中には「御用納め・御用始め」という表現を使い続ける人もいます。
証券取引所で行われる「大納会」「大発会」は、業界独自の「仕事納め」「仕事始め」に相当する行事として、特有の伝統とみなされています。
まとめ
「仕事始め」と「御用始め」は、基本的には新年の業務再開を意味しますが、「御用始め」はより公的で古風な響きを持つ表現です。
「仕事始め」は「仕事をスタートする」という意味で直接的に使われます。これらの言葉の使い分けは、伝えたいニュアンスや文脈に応じて異なりますが、時代と共にその使用法も変わっています。
ビジネスコミュニケーションでは、これらのニュアンスを理解して適切に使い分けることが大切です。